これからどうなる?親子で「先読み力」を育むボードゲームの選び方
家族で過ごす時間に、ボードゲームを取り入れてみたいとお考えの親御さんもいらっしゃるかもしれません。ボードゲームは、ただ楽しいだけでなく、お子さんの様々な力を育むきっかけにもなります。今回は、お子さんの「先読み力」や「計画力」を育むことに焦点を当てたボードゲームの選び方と、おすすめのゲームをご紹介します。
「先読み力」とは? ボードゲームでどう育まれるのか
「先読み力」とは、これから起こることを予測したり、自分が何か行動した結果どうなるかを考えたりする力のことです。日常生活では、例えば「今これをしたら、後でこうなるな」と考えながら行動する際に使われます。
ボードゲームの世界では、「相手が次に何を出しそうか」「この場所にコマを置いたら、後でどう有利になるか(不利になるか)」「次に必要なカードは何か」といったことを考えながらプレイすることがあります。このような思考プロセスが、まさに「先読み力」や、それに伴う「計画力」を育むことにつながります。
ボードゲームでは、自分の手番だけでなく、相手の手番やゲーム全体の流れを見ながら考えることが求められます。こうした経験を積み重ねることで、お子さんは自然と未来を見通す視点を養い、計画的に行動することの楽しさや重要性を学んでいくことが期待できます。
「先読み力」を育むボードゲームの選び方
お子さんの「先読み力」を育むことを意識してボードゲームを選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。
- ルールの分かりやすさ: まずは何よりも、お子さんがルールを理解しやすいゲームを選ぶことが大切です。複雑すぎるルールは、考える以前にゲーム自体を楽しめなくなってしまいます。シンプルなルールでも、「次にどうなるかな?」と考える余地があるゲームはたくさんあります。
- 視覚的な要素: 視覚的に状況が把握しやすいゲームは、特に小さなお子さんにとって状況を理解しやすく、次の展開を予測する手助けになります。ボード上のコマの動き、タイルの配置、カードの絵柄などが分かりやすいものがおすすめです。
- 選択肢と結果の関連性: 自分の行動(選択)が、その後のゲーム展開にどう影響するかがある程度分かりやすいゲームが適しています。「ここでこれを取ると、相手はあれができなくなるかもしれない」「ここに置くと、自分の陣地が広がるな」など、因果関係を学ぶことができます。
- 適度な運の要素: 運の要素が全くないゲームは、お子さんには難しすぎることがあります。適度な運の要素があることで、予測通りにならない展開にも対応する力が養われたり、「運も味方につけるには?」と考えたりするきっかけにもなります。
これらの点を踏まえ、お子さんの年齢や興味に合ったゲームを選んでみてください。
「先読み力」を育むおすすめボードゲーム
ここでは、「先読み力」や「計画力」の要素を含みつつ、親子で楽しめるおすすめのボードゲームをいくつかご紹介します。
ちっちゃなゆうれいキャスパー
- 対象年齢目安: 4歳以上
- プレイ人数: 2~4人
- プレイ時間目安: 15~20分
- ゲーム概要: プレイヤーはゆうれいになり、階段を登って屋根裏部屋を目指すすごろく形式のゲームです。特徴は、特定のマスに止まると他のプレイヤーを追い越せる「ゆうれい化」できる点です。全員がゆうれい化すると、プレイヤーのコマが裏返され、誰が誰だか分からなくなります。
- 「先読み力」につながる点: 自分がいつ「ゆうれい化」するか、他のプレイヤーがいつ「ゆうれい化」しそうか、裏返ったコマが誰かを推測するなど、相手の行動やゲーム展開を予測して戦略を立てる要素があります。例えば、「ここでゆうれい化して他のプレイヤーを追い越そう」「次のゆうれいマスまで我慢しよう」のように、先のマスや他のプレイヤーの状況を見て考えながらサイコロを振ることになります。
- 親子で遊んだ様子: 小さなお子さんでもルールが分かりやすく、ゆうれいになって他のコマを追い越すのが楽しいようです。コマが裏返ると「あれ?これはパパかな?ママかな?」と盛り上がり、誰がどのコマかを推測するのも面白いようです。親が「〇〇ちゃん、あと少しでゆうれいになれるね。追い越しちゃう?」などと声をかけると、より先のことを考えるきっかけになります。
ブロックス
- 対象年齢目安: 6歳以上
- プレイ人数: 2~4人
- プレイ時間目安: 20~30分
- ゲーム概要: 様々な形のテトリスのようなピース(ポリゴミノ)をボードの隅から置き始め、自分のピースを対角線で繋げて広げていく陣取りゲームです。ピースは自分の他のピースとは辺で接してはいけません。他のプレイヤーのピースの辺に接して置くことはできません。
- 「先読み力」につながる点: 自分のピースをどこに置けば、今後自分の陣地を広く展開できるか、逆に相手の陣地を広げさせないためにはどこを塞げば良いか、などを考えながらピースを選び、置く場所を決めます。相手が次に置きそうな場所を予測して、先に自分のピースを置いておくといった「先読み」と「計画」の要素が重要になります。
- 親子で遊んだ様子: 色とりどりのピースが視覚的に楽しく、大人も子供も直感的に理解しやすいゲームです。最初は自分のピースを置くことに集中しがちですが、慣れてくると「あ、パパ、ここを塞いできたな」「次に大きいピースを置くために、この角を取っておこう」のように、相手の動きを予測したり、先の展開を見越した計画を立てたりする様子が見られます。対戦ゲームですが、お互いのピースの置き方を見ながら「なるほど、そういう手があったか」と学ぶことも多いようです。
ハゲタカの餌付け
- 対象年齢目安: 8歳以上(※簡単なルールで遊ぶ場合はもう少し低年齢でも可)
- プレイ人数: 2~5人
- プレイ時間目安: 15~20分
- ゲーム概要: 山札からめくられる点数カード(プラス点とマイナス点)を、手札から数字カードを1枚出して取り合うカードゲームです。同じ数字を出したプレイヤーがいるとその点数カードは取れません。一番大きい数字を出したプレイヤーがその点数カードを取ります。
- 「先読み力」につながる点: 今めくられた点数カードに対して、他のプレイヤーが何番のカードを出すかを予測し、自分の手札から最適なカードを選ぶ駆け引きが重要になります。「このマイナス点は、みんな低い数字を出しそうだから、自分も低い数字を出そうかな」「この高いプラス点は、みんな高い数字を出すだろうから、思い切って一番高い数字を出してみようかな、それとも温存しようかな」など、相手の心理や残りのカードを予測しながら自分の行動を決めます。
- 親子で遊んだ様子: 簡単なルールながら、大人の駆け引きのような要素があり、読み合いが楽しいゲームです。お子さんは最初は自分の手札の数字だけを見て出しがちですが、「〇〇ちゃん、さっきパパが一番大きいカードを出したから、もう大きいカードは持っていないかもよ?」などと声をかけることで、他のプレイヤーの手札や過去のプレイを予測することに興味を持つようになります。マイナス点を押し付け合う場面では、失敗しても笑いが起きやすい雰囲気で遊べます。対象年齢は少し高めですが、親が一緒に考えたりアドバイスしたりしながら遊べば、小学校低学年くらいからでも楽しめます。
ボードゲームで「先読み力」を育むために
これらのゲームをプレイする際には、結果だけでなく、なぜその選択をしたのか、次にどうなりそうか、といったプロセスについて、お子さんと一緒に話してみるのがおすすめです。
例えば、「なんでそこに置いたの?」「次に誰がどこに置くと思う?」「もし別のカードを出したらどうなってたかな?」など、優しく問いかけてみてください。すぐに正解を教えるのではなく、お子さん自身に考えさせる機会を作ることが大切です。
また、ゲームの勝ち負けにとらわれすぎず、一緒に考えること、予測を楽しむこと、思い通りにならなくても受け入れることなど、ゲームを通じた様々な経験を大切にしていくと良いでしょう。
まとめ
「先読み力」や「計画力」は、将来お子さんが様々な場面で必要とする大切な思考力の一つです。ボードゲームは、遊びを通してこれらの力を楽しみながら育むことができる素晴らしいツールです。
今回ご紹介したゲーム以外にも、様々なボードゲームにお子さんの「先読み」や「計画」を引き出す要素が含まれています。ぜひ、ご家庭に合ったボードゲームを見つけて、お子さんと一緒に「これからどうなるかな?」とワクワクしながら遊んでみてください。ボードゲームを通じた、楽しく豊かな家族の時間になることを願っています。