色や形、アイデアを形に!親子で創造力を育むアート系ボードゲームの魅力
子供たちが自由に何かを作り出したり、自分の考えを表現したりする姿は、見ている親にとって大きな喜びです。遊びを通して、豊かな発想力や表現力を育んでほしいと願う親御さんは多いでしょう。
ボードゲームの中には、ただルールに従って進めるだけでなく、絵を描いたり、形を作ったり、言葉やアイコンでアイデアを伝えたりと、アートや創造性につながる要素を持つものがあります。このようなゲームは「アート系ボードゲーム」とも呼ばれ、親子で楽しみながら子供たちのクリエイティブな感性を刺激するのに役立ちます。
この記事では、親子で創造性を育むアート系ボードゲームの選び方のポイントと、特におすすめのゲームをいくつかご紹介します。
アート系ボードゲーム選びのポイント
アート系ボードゲームを選ぶ際には、お子さんの年齢や興味、そして親御さんがゲームに求める要素を考慮することが大切です。
- 対象年齢とルールの理解度: アート系と一口に言っても、必要なスキルは様々です。3歳くらいのお子さんなら、色を見分ける、簡単な形を認識するといった、直感的に理解しやすいルールのものが良いでしょう。小学生低学年であれば、少し複雑な指示を理解したり、簡単な絵を描いたりするゲームにも挑戦できます。ゲームパッケージに記載されている対象年齢を参考にしつつ、お子さんの発達段階に合ったものを選びましょう。
- 「表現」の形式: 絵を描く、立体的な形を作る、色を組み合わせる、アイコンや言葉で抽象的なアイデアを伝えるなど、ゲームによって表現の方法が異なります。お子さんが何に興味を持つか、どんな表現が得意そうかを考えて選んでみるのも良い方法です。絵を描くことが好きならお絵かき系、積み木など立体で遊ぶのが好きなら形作り系などがおすすめです。
- 必要な道具: ゲームによっては、紙やペン、粘土などの道具が別途必要になる場合があります。ゲームに含まれているか、自宅にあるものを使えるかなども確認しておくとスムーズです。
- 勝ち負けの要素: 競争して誰が一番うまく表現できたかを競うゲームもあれば、協力して一つの作品を完成させたり、全員でアイデアを共有したりと、勝敗がないゲームもあります。お子さんの性格や、ゲームを通じて何を学びたいかに合わせて選んでみましょう。勝ち負けのないゲームは、特に小さなお子さんにとって、表現することそのものに集中できるためおすすめです。
親子におすすめのアート系ボードゲーム
ここでは、小さなお子さんと楽しめる、アートや創造性につながるおすすめのボードゲームを3つご紹介します。
カラリーノ (Colorino)
- 対象年齢(目安): 3歳から
- プレイ人数(目安): 1人~4人
- プレイ時間(目安): 10分程度
- ジャンル: 色合わせ、形はめ、知育
ルール概要: 様々なイラストが描かれた厚紙の台紙に、色とりどりの大きなプラスチックチップをはめ込んでいくゲームです。台紙には色が付いていない箇所があり、そこに対応する色のチップを置いていきます。サイコロを使って、出た目の色のチップを置くルールで遊ぶこともできます。
親子で遊んだ時の様子: 色を認識し、同じ色の場所を探してチップをはめ込むというシンプルな遊び方です。小さなお子さんでもすぐに理解できます。最初は好きな絵を選んで、自由にチップを置いていくことから始めても良いでしょう。カラフルなチップを指でつまんでボードにはめ込む作業は、指先を使う良い練習になります。完成した絵を見て「わあ、きれいにできたね!」と一緒に喜ぶことができます。
親目線での評価: 色の名前を覚えたり、色を識別したりするのに役立ちます。また、チップをつまんで正確な場所にはめ込む動作は、手先の発達を促します。競争要素がなく、自分のペースで遊べるため、小さなお子さんの初めてのボードゲームとしても適しています。片付けもチップをまとめて箱に戻すだけなので簡単です。
メイクンブレイクジュニア (Make 'n' Break Junior)
- 対象年齢(目安): 5歳から
- プレイ人数(目安): 2人~4人
- プレイ時間(目安): 10分~15分
- ジャンル: 形作り、立体、パズル
ルール概要: 様々な色のブロックを使って、カードに描かれた形を時間内に完成させるゲームです。砂時計が落ちる前に、カードに指定されたブロックを使って、お手本と同じ形を正確に作り上げます。完成したら得点としてカードを獲得できます。
親子で遊んだ時の様子: カードに描かれた形を見て「この形はどうやって作るのかな?」と一緒に考えながらブロックを組み上げていきます。お手本通りに作るためには、どのブロックをどこに置くか、向きはどうするかを考えなければなりません。制限時間があるため少しドキドキしますが、親子で協力して一つの形を完成させる遊び方もできます。子供が自分で完成させた時の達成感はとても大きいようです。
親目線での評価: 図形や空間を認識する能力、指示を理解し実行する能力、そして手先を使って正確にブロックを操作する器用さが養われます。時間内に完成させるという目標があることで、集中力も高まります。ジュニア版は簡単なお手本が多いので、初めての形作りゲームとして取り組みやすいです。
コンセプトキッズ アニマル (Concept Kids: Animals)
- 対象年齢(目安): 4歳から
- プレイ人数(目安): 2人~12人
- プレイ時間(目安): 20分程度
- ジャンル: コミュニケーション、推理、アイコン、動物
ルール概要: カードに書かれた動物を、ボード上のアイコン(「色」「生息地」「食べ物」「動き」など動物の特徴を表す様々な絵)を指差すことでヒントを出し、他の人に当ててもらう協力型ゲームです。例えば、「ライオン」なら「茶色」「陸の上」「お肉」「走る」といったアイコンを指差していきます。
親子で遊んだ時の様子: 子供が動物カードを見て、親がボード上のアイコンを指差してヒントを出します。「ヒントはね、これとこれ!」と指をさしながら、動物の特徴を分かりやすく伝えようと工夫する様子が見られます。逆に子供がヒントを出す側になって、親が当てる番も面白いです。アイコンという「絵」を使って、言葉ではなく情報を伝達するという行為が、子供たちの表現力や論理的な思考を刺激します。当たった時にはみんなで「やったー!」と盛り上がります。
親目線での評価: このゲームは絵を描くわけではありませんが、アイコンという「絵」を使って動物の特徴を表現し、相手に伝えるという点で、広い意味での「表現力」と「コミュニケーション能力」を育みます。どのアイコンを選べば動物の特徴が伝わるか、どういう順番で示せば分かりやすいかなど、論理的に考える力も養われます。協力型なので、勝ち負けを気にせず、一緒に動物の特徴を学んだり、アイコンの意味を理解したりする過程を楽しめます。
ボードゲームを通じて育まれる子供の力
アート系ボードゲームは、単に絵を描いたり形を作るだけでなく、様々な子供の力を引き出す可能性があります。
- 創造力と発想力: 自由な表現を通して、オリジナリティのある発想が生まれることがあります。お手本通りに作るだけでなく、それを応用したり、新しい組み合わせを試したりするきっかけにもなります。
- 表現力と伝達力: 自分の考えやイメージを、絵や形、アイコンなどの非言語的な方法で表現し、相手に伝えようとすることで、表現する楽しさや、どうすれば伝わるかを考える力が育まれます。
- 色彩感覚と図形認識能力: 色の組み合わせを考えたり、様々な形を組み合わせたりすることで、色の識別能力や、図形を認識し構成する能力が自然と養われます。
- 集中力と手先の器用さ: 細かい作業に集中したり、ブロックなどを精密に操作したりすることで、集中力や巧緻性が向上します。
- コミュニケーション能力: ヒントを出す側と当てる側、あるいは協力して取り組む中で、お互いの意図を理解しようとしたり、相手に合わせて表現方法を調整したりと、自然なコミュニケーションが生まれます。
親子で楽しむためのヒント
アート系ボードゲームを最大限に楽しむためには、いくつか意識したいポイントがあります。
- 過程を楽しむ: 勝ち負けや、お手本通りに完璧にできるかよりも、子供が考え、悩み、試行錯誤しながら表現するその過程を大切にしましょう。
- 褒めて認める: 子供のユニークなアイデアや、一生懸命作ったもの、表現しようとした努力を具体的に褒めてあげてください。「この色使い面白いね」「ここをこうしようと考えたんだ、すごいね」といった声かけは、子供の自信につながります。
- 親も一緒に楽しむ: 親御さん自身も、童心に帰って自由に表現を楽しんでみましょう。親が楽しんでいる姿を見ることで、子供もより安心してゲームに没頭できます。
- 日常生活と繋げる: ゲームで使った色や形、アイデア表現などを、日常の会話や遊びの中でも意識的に取り入れてみると、子供の学びがより深まるかもしれません。
まとめ
色や形、アイデアを自由に表現するアート系ボードゲームは、親子で楽しみながら、子供たちの創造性や表現力を豊かに育む素晴らしいツールです。この記事でご紹介したゲーム以外にも、お子さんの成長や興味に合わせた様々なアート系、または創造性を刺激するボードゲームがあります。
ぜひ、お子さんと一緒にゲームを選び、絵を描いたり、形を作ったり、アイデアを伝え合ったりしながら、世界に一つだけの素敵な時間を作り上げてみてください。ボードゲームを通じて、子供たちの無限の可能性を引き出し、家族の思い出を増やしていきましょう。